近年、日本発の高級フルーツとして世界的に人気を集めている「シャインマスカット」。
今、このシャインマスカットをめぐって「栽培権」の問題が大きな注目を浴びています。
2025年9月、農林水産省がニュージーランドへのシャインマスカット栽培権供与を検討していることがニュースとなり、国内の産地や政治の場でも議論が巻き起こりました。
この記事では、シャインマスカット栽培権のニュージーランドへの供与をめぐる最新情報を整理し、何が問題なのかをまとめました。
「シャインマスカット」栽培権のニュージーランド供与は何が問題?
- なぜ「シャインマスカット」栽培権をニュージーランドに供与しようとしているのか?
- シャインマスカット栽培権をニュージーランドに供与したら何が問題なの?
- 「シャインマスカット」栽培権供与に対して、山梨県は強く反発
なぜ「シャインマスカット」栽培権をニュージーランドに供与しようとしているのか?
農林水産省がニュージーランドへの栽培権供与を検討している背景には、国際市場での安定供給があります。
日本と季節が逆のニュージーランドで栽培できれば、一年を通して出荷できるようになり、輸出拡大につながる可能性があるのです。
また、近年中国や韓国などで無断栽培や種苗流出が深刻化し、「年間100億円以上の損失」とも試算されている問題があります。
無断で海外に持ち出された苗から栽培されるリスクを抑えるため、正式なライセンスを与えて管理下で栽培してもらうという狙いもあります。
種苗法や育成者権について詳しく知りたい方は、農林水産省の公式情報をご確認ください。
シャインマスカット栽培権をニュージーランドに供与したら何が問題なの?
農林水産省がニュージーランドへの栽培権供与を検討している一方で、国内の産地からは大きな懸念が上がっています。
- 「日本産」と「海外産」の区別が曖昧になり、ブランド価値が下がる
- 安価な輸入品が出回れば、国内農家の収益を圧迫する
- 品質管理が難しく、日本の栽培技術や評価に悪影響を及ぼす可能性がある
つまり、国際展開によるメリットと、国内農家への打撃というデメリットが拮抗しているのです。
「シャインマスカット」栽培権供与に対して、山梨県は強く反発
シャインマスカット最大産地の山梨県は、ライセンス供与案に対して「ブランド価値の低下と国内農家への打撃」を強い懸念を抱いています。
25日には長崎幸太郎・山梨県知事が国会内で小泉進次郎農相に抗議・要請書を提出する事態となりました。
輸出も十分に拡大できず、安価な海外産が国内外市場に流入すれば生産者が大きな打撃を受ける。せめて同じ土俵で競争したい
この一連の抗議・反発によって、2025年4月に更新された「食料・農業・農村基本計画」でも議論された「グローバル戦略」と「国内産業保護」の両方を、どのようにバランス良く進めていくかが問われています。
シャインマスカット栽培権のニュージーランド供与問題の課題
- シャインマスカットのニュージーランドでの栽培拡大と課題
- シャインマスカットに関する小泉進次郎農水相の発言と波紋
- シャインマスカットの苗木と育成者権の関係
- 【まとめ】「シャインマスカット」栽培権のニュージーランド供与は何が問題なのか?
シャインマスカット ニュージーランドでの栽培拡大と課題
ニュージーランドでは、すでに日本の栽培技術を取り入れた高級ぶどうの生産が始まっています。
ニュージーランドは南半球に位置しているため、日本の収穫期とずらして栽培できるというメリットがあり、グローバル市場に一年中「シャインマスカット」を届けられる可能性があるのです。
しかし、品質管理やブランド維持が課題となっており、「日本産」と「海外産」をどう差別化するのかが今後の焦点になります。
シャインマスカットに関する小泉進次郎農水相の発言と波紋
農林水産大臣の小泉進次郎氏は、
「産地の理解を得ながら国際展開を進めたい」
と発言しました。
これに対し山梨県をはじめとする国内の農家からは「到底容認できない」と強く反対する声が上がり、ニュースやSNSでも議論が過熱しています。
今後の農業政策の方向性を問う事例として、政治的にも注目を集めています。
シャインマスカットの苗木と育成者権の関係
シャインマスカットは登録品種であり、苗木を勝手に増やして販売することは種苗法違反となります。
家庭用に苗を購入して育てることは可能ですが、商用目的の増殖や他人への譲渡は育成者権者の許可が必要です。
過去には無断で苗木を増殖し販売した業者が摘発されたケースもあり、苗木の取り扱いは非常にデリケートな問題となっています。
また、苗木や種が海外に流出した結果、無断で現地栽培が広がったという事例もあるため、厳格な管理が求めらています。
【まとめ】「シャインマスカット」栽培権のニュージーランド供与は何が問題なのか?
シャインマスカット栽培権のニュージーランド供与は、
- 国際市場での競争力を高めるチャンス
- 国内農家からの反発やブランド価値へのリスク
という二面性があります。
現在、農水省は国際展開を模索しているものの、国内産地からは強い反発がある状況です。
今後の交渉次第で、日本農業の未来やブランド戦略が大きく変わってくるかもしれませんね。
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